日本の高齢化問題を考える その1

 
 

今日は世界一高齢化が速い日本の人口の高齢化問題について考えてみましょう。


最近のコマーシャルは年齢40歳以降の高齢者向けが多くなっています。
私たちが20代の頃は(30年以上前)若者がお金を使っていたのでやれ青春だ、やれ車だと言ったようなCMが中心だったように記憶しています。
今みたいに消費者金融の過払い金が中心のようなCMではありませんでした。
そもそも消費者金融や過払い金、保険や証券会社の金融商品が中心のCMがはばをきかせているような昨今では世の中終わりのイメージです。


今の若者は消費の対象として経済社会から相手にされておりませんし、若者達自身もお金は自由に使えるものではなく、生活のためどうしても必要で、最小のお金の中で最大のパフォーマンスを得ようという状態となっております。
ですからCMは必然的にまだお金を使う生活が染み付いている40代50代以上を対象としたものになってしまうのです。
この広告業界を見ても日本が高齢化しているのが見て取れます。
化粧品なども今はほとんど40代、50代、そして60代向けになっています。
化粧品すら若者を対象としていません。


さて、前置きはこれくらいにして最近読んだデータから今後の日本社会の推移を予測しながらどうなっていくかを考えてみました。



まず少子化を考える上で基本となる合計特殊出生率(一人の女性が生涯に出産する子供数の推計値)について考えてみましょう。
1947年戦後間もない頃は4.54だったその数値は直近の2016年では1.44にまで下がりました。
現在の人口規模を維持しようとするとこの数値は2.07でなければなりません。
過去の数値を調べてみますと合計特殊出生率が最低だったのは2006年の1.26です。
これだけ見ると改善しているかのように見えます。



ではこれを深く分析してみましょう。
政府はこの合計特殊出生率の数値を上げようと努力していますが、実際のところはどんなものなのでしょうか?
その2006年の合計特殊出生率が最低だった時の年間出生数は106万2530人でした。
ところが、改善したにもかかわらず2016年の年間出生数はなんと97万6970人と100万人を割ってしまいました。
つまり母数(出産適齢期にある女性の数)がすでにもうかなり減少してしまっているのでそうような結果になってしまったのです。


こうなるとこの合計特殊出生率が多少改善したところで子供の数は増えません。
合計特殊出生率を計算する際に母親となり得るとカウントしているその女性の母数は15〜49歳の女性でデータでは49歳までが女性の出産可能年齢としています。
それでは49歳以下の女性人口はどのようになっているのでしょうか?
社人研の調査では2020年には女性の50歳以上が3248万8千人となり0〜49歳人口の3193万7千人を追い抜きます。
つまり今から3年後には女性の2人に1人は50歳以上となるのであります。
もうここまで来ているのです。


その問題を認識したところででは今後どのように日本の人口は推移するでしょうか?


人口減少のスピードは思ったより早いスピードで変化しています。
2000年頃の推計より実際は数年早く2015年から人口減少が始まりました。
そしてついに2016年に年間出生数そのものが100万人を割ってしまいました。
私たちはまずこの問題をゆっくり見守っていこうという考え方自体が間違いであることに気がつかなければなりません。
なぜなら今考えても10年後20年後に考えても今年10歳の人は10年後には必ず20歳であり20年後は必ず30歳であるからです。
つまり多少の違いはあれ将来見通しは確実に計算され推移し歳を重ねていくのであります。
つまり確実に今から未来がわかる構造なのであります。


ではその問題をもっと長い未来で計算してみましょう。
すると2015年に1億2700万人であった日本の人口は40年後の2053年には1億人を割り込み2055年に4人に1人が75歳以上となり2060年には日本の総人口が9000万人を割り込みます。


さらにこの付近を見てみると2056年に生産年齢人口(15〜64歳)が4983万6千人となり5千万人を割り込みます。
2059年に5人に1人が80歳以上となり2065年には総人口8807万7千人で2.5人に1人が高齢者となります。


もっと先を見てみますと2076年に年間出生数が50万人を割り込みおよそ100年後の2117年には総人口が5000万人を割り込みます。


ではもっと過去の人口推移を見てみましょう。


日本の総人口5千万人とはちょうど明治から大正の時代に移り変わる頃になります。  




100年後はまだそれでもその人口構造はともかく日本としての国は成り立つかもしれませんが、さらに100年後、つまり2217年頃には人口は1380万人にまで減ってしまいます。
これはほとんど戦国時代の頃の人口となります。
そして300年後には日本の人口は450万人(ほぼ福岡県の人口500万人)となってしまいます。


これは奈良時代の人口より少ないです。
この生産人口数で今のようなレベルの成熟社会を維持できるでしょうか?
とても否としか言えないでしょう。
 

問題はこれは推計ではなく確実に起こることなのです。
冒頭にも述べましたが合計特殊出生率が多少改善したところで関係ないのです。
それこそ数年後には合計特殊出生率が4とか5とならなければならず、そのような社会は国として成熟したこの日本ではもう考えにくく、教育費は全額どこまでも無料、子育て無料、さらに一夫多妻OK、など究極的な政策を取らない限り無理でしょう。


では次回はこの人口推移をベースにして社会がどのように変化していくかを介護や一人暮らし、未婚問題や自治体の変化、食料、教育、企業活動、などの各分野に亘ってみていくことにしましょう。