相対的貧困家庭とは

NHKで貧困層の取材から今話題となっている話を続けたい。


貧困には2種類ある。
絶対的貧困相対的貧困だ。
絶対的貧困とは定義によると、
「必要最低限の生活水準を維持するための食糧・生活必需品を購入できる所得・消費水準に達していない者」を言う。

絶対貧困率とは、その国や地域の全人口に占める割合。
世界銀行では1日の所得が1.25米ドルを貧困ラインとしている。

しかし絶対的貧困の基準は国や機関、時代によって異なる。

もちろん日本では1日1.25ドル、つまり125円〜150円程度では生命を維持することすら不可能だ。



このNHKの取材の女子高生が千円のランチを食べているのに貧困に値するのかと言う見方は絶対的貧困相対的貧困の区別が出来ていない愚か者だ。
それは巷で私は貧乏だ、と言っているのに車を持っていたら、たとえそれが30年以上前のポンコツ車なのに、貧乏なら車なんて持てるかよ、嘘つくんじゃねと言っているのと同じだ。30年以上前の車を自分で誇りを持って所有しているものもいるし、買い替えできる所得が無い人もいるが、


要するに、周囲の環境によって貧困と感じるのが相対的貧困だ。


たとえば田舎暮らしであまり周囲を知る環境にはなく、古い公共のアパートに住んでいる人の集団のような環境だと毎日安い食事にレジャーもほとんど無しでも、周りがみんなそうなのであまり自分を貧困と感じないで明るく生活できるのかもしれません、
また逆に東京の高級マンションに住み一回の昼食にも有名シェフの御忍びの店にタクシーを飛ばして駆けつけ何万もかけているような生活をしてる人に囲まれていたら自分でたとえそれが好きだからといってもインスタント食品や弁当を自宅で食べてるだけでなんと貧乏なんだと感じてしまうのではないでしょうか。


東京のヒルズレジデンスなどには全く働かなくとも、月に何度も飛行機のファーストクラスで海外へグルメ旅行や観光旅行に出かけているような連中は山のようにいる。
そんな人の周りに住んでいたら自分が高額所得でも働いているだけで貧困と感じるし、お手伝いさんをたった一人しか使っていないだけで貧乏と感じてしまうかもしれない。


ようするに自分の生活スタイルに合った周りの環境というのは貧困を感じる環境と言う意味ではとても大事だ。


そしてその相対的貧困を煽っているのがテレビである。
セレブの生活スタイルを追う番組や欲丸出しのグルメ番組など見ていると餓鬼が移ってしまうような番組ばかりだ。
そんな番組は皆で無視しそんな番組を作ることすらやめさせるような環境作りが必要であろう。


さて、上記のような極端な例はさておき、OECD加盟30か国中で調べてみると日本は相対的貧困率が4番目の高さであることがわかる。
(下図参照)



では相対的貧困とは定義的にどのような状態をいうのであろうか、
OECDでは、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人数の平方根で割って算出)が全人口の中央値の半分未満の世帯員を相対的貧困者としている。相対的貧困率は、単純な購買力よりも国内の所得格差に注目する指標である」

としている。


最新の日本の世帯所得の中央値は432万円、一世帯当たり平均値は537万円となっている。


http://www.huffingtonpost.jp/2014/07/15/average-income_n_5586999.html


日本人の世帯平均人数は2.49人なので仮にその基準で計算してみると、


http://www.garbagenews.net/archives/1953859.html


432万 ÷ √2.49 = 274万
274万円の半分は約137万円なので月にすると可処分所得が11.4万円を下回ると相対的貧困と定義される。
これは所得なので収入ではないから給与収入の場合、137万円に相当する収入は税務署の発行する年末調整表から見ると約222万円に相当するので、ボーナスの無い月収入に直すと、18.5万以下の給与(一人暮らしの場合)だと日本では相対的貧困者ということになる。
世帯3人の場合は137万 × √3 =237万 
それに相当する給与収入は364万円となり月に直すと30.3万以下は相対的貧困世帯となる。
家族が夫婦二人で奥さんが専業主婦で子供がまだ小さくて働いていない場合30.3万以下は相対的貧困者なのだ。
参考に世帯所得の中央値432万円に相当する給与収入は607万円である。
御主人一人で全て稼いでいる場合ボーナスが年間127万と仮定して月収40万が中央値である。ボーナスが無ければ50.6万円/月だ。
意外と高いのだ。
また他の例として奥さんに100万円の給与所得がある場合、その給与収入は167万(月14万)なのでご主人の所得は432−100=332 それに相当する給与収入は483万(月40.2万)となる。
家庭収入としては650万だ。


今転職事情を調べてみると、給与30万〜でややいい方とされているようなので、ボーナスが年間一月分出たとして月約32.5万で先程の例の家族3人ではその会社に就職しても相対的貧困をかろうじて上回る程度だ。ボーナスが出なければ相対的貧困家庭だ。
もちろん会社支給額32万でもそのうち通勤手当が2万あればそれはそこから控除しなければならない。通勤手当は給与所得ではないからだ。


いやたとえご主人の給与が26万程度(所得200万)でも奥さんが月8.5万円程度(時給900円で月94時間程度、所得37万)のパートについていれば相対的貧困は免れる。


ざっと計算してみたが、家庭にはいろいろな事情があり可処分所得と言っても、絶対必要な、家賃や住宅ローンの返済、他の借金の返済、光熱費、教育費などいろいろあるから本当の可処分所得は手元に数万円しか残らないのが普通ではないだろうか、これでは貯蓄などはるか遠い世界である。


平均所得以下は全世帯の61.2%を占めている。


さてあなたの世帯はどうでしょうか、平均を上回っているのでしょうか、
それとも平均よりちょっと下程度でしょうか、
もしかして相対的貧困でしょうか、


平均を超えるのは現在の日本の事情では大変難しいことがわかります。
家族総出で努力しないと達成不可能かもしれません。