効率化の悲劇

日本が陥っているデフレの悪夢をいまさらではあるがはっきりしておきたい。


ここでは最も民主主義が進んでいると思われる米国の悲劇をひとつ示したい。

米国最大の流通業にウォルマートという会社がある。
この企業の仕組みを見習おうといくつかの本まで出て、絶賛している例もあるが、愚かでありまさに悪循環の構図である。


ウォルマートは、経営者であるウォルトン一族の利益を得るために、自国製品ではなく安価な輸入品を主に扱って薄利多売を徹底。
周辺の個人商店や小規模スーパーマーケットを倒産に追い込んだ挙句に非正規雇用の従業員を低賃金で働かせ、各地の地元経済を破壊してきた。
今やウォルトン一族6人が所有する資産は、アメリカの最貧困層とされる総人口の30%(約一億人)の総資産総額と等しい。
つまり安さを求めて効率を上げ、雇用を増やすため、低賃金のつまらない仕事を雇用増などという心地よい言葉で提供し、世のためということで実現した安さは結局、周囲の経済をぶち壊し、その地域の労働者を全て低賃金の奴隷のような形に変え、提供される商品も安くて質の悪いものに変えていくという悪循環なのであります。


日本は小泉政権の時にこのアメリカ式のやり方を輸入してしまいました。

あの頃、勢いに乗って我々が向いた方向ははっきり間違っていたのです。


この仕組みは形や商品を変え日本全国にも覆いかぶさっている悪夢であります。


このように安い商品を求めるという行動事体が自らを破局に導き、経済破壊に協力している行為であることが悲しいです。
この悪循環に陥っている限り、永久に破局に向かって進んでいるということになる。


もちろん最終的に消費者に商品が行渡るまでの無駄は省く努力は必要である。
そこは肯定したい。
しかし消費者のわがままに付き合って従業員の賃金を下げることが、正しい行為だろうか、
さまざまな理由からそのようにせざるをえないなら、それはもはや資本主義が限界に達してしまし、人類は新しい方式を見つけなければならない時にきているという証明なのです。


さらにここまで一部の民間企業が財産を持ち、力を持つと、寄付金や献金などの関係から政治的にも力を持つ。
そのため政治家はこれらの富裕層に課税できない。
つまり民主主義が最も進んでいると思われた米国が実は最も民主的でないということがここからもわかります。


つまり人々の努力が全て指導者の舵取りの失敗のため幸せとは反対の方向にむかってしまっているのである。


ますます二極化が加速する行為を私たちは自ら進んで選んでいることになってしまうのである。